VOL8 恐怖の冷凍バスの巻
根っからの旅人である俺様的には、おっ、ちょっとカッコいいな、これ。もう一回、根っからの流離人(さすらいびと)である俺様的には、おっ、こっちの方がいいのではないか。
というわけで今からクラスで多数決をとります、はーい皆目をつぶってぇなんてつまんないことをやってるひまはないのであるが、で、どっちがいい?
まあとりあえずそんな風なかっちょいい俺様的には、バンコクはもう飽きた。考えてみればもう5日もここにいる。
どこかに行きたくなってきたのである。
おっぱいぼよよんも怪人水着女も弓さやかもいい加減どうでもいいというか、いやまあでもそれほど投げやりになる必要はないと言うか、もう一回いってもいいかなーと言うか、いやここは男らしくばしっと俺はまた行くぞと宣言した方が本宮ひろし風でいいのではないか。
というわけでどっか行くのはまた次の機会に。それじゃ。
ということも時間のない俺様的にはできないのであった。
まあ、どうせまた帰りにこの街に立ち寄るぜと背なで断ち切る道標ぇぇぇ♪生きていたならいつかは会えるぅぅ♪ゆぅめでもぉ逢えるだろぉぉぉぉぉ<了>
と山本譲二ばりにこぶしをまわしながらどっかに行くことに決めたのであった。
とは言え、3日後にはネパールへ行くことになっておる。
できれば海に行きたいのであるが、あまり時間的には余裕はない。
宿のおっさんに聞くと、バンコクから2時間ぐらいで行けるビーチがあると言うではないか。
レディ、きれいきれいとかのたまってるではないか。
おっさんちょっと待て。俺様がそういう人間に見えるのか。
俺はなあ、こう見えてもしごく真面目な人間でなあ、人には言えない苦労も・・・くっ・・・ありがとう、おっさん。
そこに決まり。決定。即決。ニコニコ現金払いもやぶさかではない。
そういうわけでバスターミナルである。エカマイとか言うスクムビットのはずれまでやってきた。
ちゃんと行き先別にカウンターが分かれており、タイ語と英語で表記してあるではないか。
なーんだ、またまた楽勝である。ちょっとびびってた自分が恥ずかしいくらいである。
バスに乗り込むと、車掌さんが水とお菓子をくれた。
おお、なんか好待遇ではないか。VIPみたいであるぞ。うむうむ。苦しゅうない。
お、毛布もくれるのであるか。そういやちょっとエアコン効きすぎのような気もするな。まあでも毛布があれば大丈夫。これは快適なバスの旅ができそうである。
横を向くとデブの白人がぱりぱりぱりぱりポテチ喰っていてちょっとうるさいのであるが、それはまあ、我慢して差し支えない。
よし、それではレディきれいきれいのパタヤへ出発進行!
うむ。窓の外は炎天下ではあるがバスの中はひんやりである。
快適。これを快適と言わずして何と言う!
バスはスクムビット通りを順調に進んでゆく。
窓の外では物売りが炎天下で頑張って商売しておる。ああ、なんかいいなあ。こういうの。
しかも隣のシートではまたぱしゅっとお菓子の袋を開ける音がこだまして・・・
つーかあんた何袋めであるか!お菓子食いすぎでしょ!
どうせカロリー半分ダイエット食品もキロ単位で食うんだろ!考えろ!ちっとは!
とか怒り狂ってもしょうがないので、まあとりあえず寝よう。
エアコン効いて快適に眠れるであろう。では。
・・・・・・・・
てゆーか、寒ッ!
いや、さっきからなんか鳥肌たってたのは気のせいかなーと思ってたがこれは冷房効きすぎなのではないか。
どうりでさっきから貰った水がぜんぜん温くならないはずである。
確かに冷房が効いてるのはいいのであるが、効けば効くほどサービスだと思うのは違うのではないか。
いや、マジでホント寒いんですけど。
横にデブがいることがせめてもの救いか。
よし、デブ。もっと喰え喰え。喰って体内エネルギーを溜め込んで俺様のほうに照射するんだ。
最終的には光子力バリアを張っても差し支えないぞ。お?
・・・・・・・・
てゆーか、寝るなッ!役立たず!
まったく困ったもんである。いや、冗談はさておきこのままでは氷漬けにされたマンモス状態に陥るのではないか?危険である。レディきれいきれいなパタヤに行くまでは死んでも死にきれぬ。
お、そういや足元にさっき配られた毛布があるではないか!
これである。まったくもうこのうっかり屋さん、めっ♪とか一人遊びは虚しいので自粛。
これで眠れる。快適。あったかいのである。
では・・・
痒っ!
なんであるか!なんか痒い!腕がぷつぷつである。
なんじゃああああこりゃあああ!とか松田優作の真似してる場合ではなくこれはダニなのではないか。
いや、ないか、ではなくダニである。
ちくしょおおおお。なんか寒すぎて逆に眠くなってきた!いかん!眠るな!眠ると凍え死ぬぞ!とか遭難ごっこやって結局眠れぬままパタヤ到着。
レディきれいきれいどころではなく、たかだかバスに乗っただけでへにゃへにゃなのであった。