タイ人の英語
タイ人の英語と言われても「???」な方は多いかと思いますが、これがまたJAPANISH(日本人のカタカナ英語)や、CHINGLISH(中国英語)、SINGLISH(シンガポール英語)などと並んで(いや、それ以上に)変った発音をするのがタイ人の英語です。
タイは観光国家、と言うか、日本人は英語はどこでも通じると思ってる節がありますが、我が日本同様タイも英語があまり得意とは言えないお国柄であります。もちろんタイも日本同様英語が最初に学ぶ外国語であり、一番目にする外国語でもあります。そんなタイ人の英語を聞いた日本人は一応にこう言います。
「何言ってるか分からない」
そうなんです。タイ人の英語は非常に聞き取りにくいのです。そして彼らも日本人の英語を聞いてこう言います。
「日本人の英語は何言ってるのか分からないし、どうして私たちの英語が分からないのか分からない。ヨーロピアンには通じるのに。」
つまりタイ人は日本人よりも自分たちの方が英語がウマいと思ってます。その理由は簡単です。彼らの英語がちゃんと通じているのと(思っているのと)、日本人の大半が英語が出来ないと思っているからです。たしかに日本人は英語が下手です。が、タイ人もこれまたヘタクソでして、下手同士がケナシ合っても始まらないんですが、お互いの方が下だと思っているようです。
なぜこうなるかというと、タイ人の英語は文法なんてありません。もうそれはそれはすばらしいブロークンイングリッシュでして、基本的に時制の一致もへったくれもありません。その代わり英語を話せるという人たちは観光業など英語を毎日話す必要のある人たちな訳でそういう中で培ってきたために、「相手には通じる」英語を話すことが出来ます。そしてそれに対して彼らは変な自信を持ってたりします。
しかるに日本人は、読み書きは出来るけど…という人がかなりいます。日本にいる限りよほどのことでもない限り英語を話す機会はないですし、もちろん外国人と接することもないです。おかげでヒアリング能力や会話能力はゼロに近いです。そのため外国に行ったときに英語を6年も勉強したのにまったく話せないわけですが、もうまちがいなく諸外国では「日本人は英語が出来ない」と思われています。そしてそれは正しい…訳ですよね、皆さん。
かくいう管理人も英語はダメ。と言っても必要に迫られているので人様の言ってることは分かります。そして言いたいことをなんとか話すことも出来ます。つまりヘタクソですが英語が多少は出来るわけです。一応これでも何年も英語は勉強している訳なので、多少は頭の中に英語の素養があるわけで、おかげで文法や単語も多少は分かります。大部分の日本人がそうだと思うのですが、必要に迫られたときには日本人はそういうグラマー系の勉強をしていたために比較的まともな英語がしゃべれる人が多いです。
しかしタイ人は必要に迫られても、文法的な素養がないためにいつまでたってもおかしな英語をしゃべってしまう人が多いのです。しかもある意味どんどんウマくなっていくのでお手上げ状態です。そしてそういう人たちと日本人はあって話をするので、お互いの英語力の評価がどんどん落ちていきます…。
ところでタイ人英語と日本人英語、この上にものすごくお互いが分かりにくくなる原因があります。それは発音の問題です。
日本人英語は俗に言うカタカナ英語であって、単語の語尾までしっかり(語尾の方が強くなる)話す傾向があります。対してタイ人英語はもちろんタイ語で考えるので語尾はほどんど無発音、つまり聞こえてきません。口の形だけTとかKだったりします。
昔タイであったヨーロピアンがタイ人の英語をからかってこう言ってました。内容を要約すると、「Do you like rice right ?」と言う文章をタイ人が言うと「ドゥー ユー ライ ライ ライ ?」としか聞こえないというモノでした。タイ人はもちろんちゃんと「ライ(ク) ライ(ス) ライ(ト)」しゃべってるつもりなんですが、我々タイ人以外の人間が聞くとこれはもう全部「ライ」にしか聞こえないのです。逆に日本人英語はこのカッコの中の言葉の方にアクセントがあるわけで、同じ言語とは思えないほどに発音が変ってきてしまいます。これではお互いに理解するのは難しくなりすよね。
タイ人の英語、つまりタイ語で考える英語というのはもちろんタイ語っぽくなってしまいます。たとえば「WORLD TRADE CENTER」としゃべるときに日本人がカタカナで考えるので「ワールド トレード センター」と発音します。英語でしゃべるときもこれを少しアレンジする程度…。対してタイ人の場合ですと、英語の単語にそのままタイ語を当てるために(タイ語は表音文字なのでAにはタイ語のAを当てることが出来る)、綴りは同じ字を当てることが出来ます。そして全部タイ語で書き直してしまうと、当然タイ語の読み方でそれを読むことになります。結果として「ウォッ(ト) トレッ(ト) センター(ウ)(尻上がり)」みたいな感じ(すいません正確でなくて)で発音することになります。これが同じモノを同じ言語で言ってるとは誰も思わないですよね。タクシーに乗って何度言っても通じないのは当たり前のことなのです。相手の頭の中にはタイ語で書いた字しか浮かんでないのですから…。
ついでなので英語をタイ語表記したときのポイントを少し。
語尾が「B」ならば口の形だけ「P(ップ)」、「D」「T」ならば口の形だけ「T(ット)」、「K」ならば口の形だけ「K(ック)」、「L」ならば「N(ン)」になってしまいます。HOTELは「HOOTEN」という発音になってしまうのです。
そして「CENTER」は「CEN」と「TER」に分かれて書かれてあって「SEN TAAW」と言う発音になってしまいます。(ま、こんな感じと言うことで)
こういう風に発音されると、やっぱ英語を聞き慣れていない日本人にはお手上げですよね。もちろん聞き慣れている人でもかなり難解なのですけどね…。
最後にこのタイ人英語というのは一般的なタイ人の話であって、高学歴者には当てはまらないことが多いです。彼らはまるでネイティブのように英語を話します。これはもう日本人の及ぶところではありません。(もちろん日本にもそういう人たちはいますが)
なのでまた、彼ら英語が本当に出来る人たちから見てもやはり日本人は英語ダメダメじゃんと思われています。使わなければダメって事ですね…。
にしても、「COME」をちゃんと「CAME」って言ったら分かってもらえなくって、あなたの英語はおかしいって言われると…、
「おかしいのおまえの方じゃあああァ」
と絶叫したくなるのもまた事実であったりします。