フランスもタイ?
管理人の大学時代のサークルOBがやりとりしている会報の中にある海外特派員報告というのがありまして(実はその第一弾が管理人の原稿だったのですが)、今回フランスのレンヌという都市で働いている先輩が書いた記事があまりにもタイっぽかったので、先輩の承諾を得て、こちらのコーナーで紹介しようと思います。タイに限らずどこにいても苦労は似ている、そんなお話にもなってます。H先輩ありがとうございます。
なお、いっさいの校正をしていないので、タイとは少し離れてしまった部分もありますが、ご了承ください。
私は、現在、会社の転勤でフランスのレンヌという町で働いています。
赴任してから、約三年経ち、フランスでの仕事・生活にはかなり慣れましたが未だにフランス語が上達せず苦労しています。
今回の特派員便りでは、3年間のフランス生活で感じ、考えたことを書かせて頂きます。
皆さんの何かの参考になれば幸いです。
<レンヌという町>
私が住んでいるレンヌ市は、パリからへ西へ約380km行ったブルターニュ地方にあります。
人口は20万人で、フランスの中では大都市の部類に入ります。
気候は温暖で、夏は最高気温25度ぐらい、冬は最低でもマイナス2〜3度。
夏は涼しく、冬は日本ほど寒くなく、気候は最高です。(但し、今年は54年ぶりの猛暑で最高気温35度を超える日が続いています)
海産物が豊富で、市場では新鮮な魚、生きているカニ、ホタテ、カキが格安で手に入るので、日本人にとって住みやすい町の1つだと思います。
但し、日本の調味料、食材、本等は手に入りにくいので、パリまで買いに行かなければ
ならないのが難点ですが・・・。
近郊の観光地は、世界遺産のモンサンミッシェル観光、ロアール川の城巡り、海鮮レストラン巡りが挙げられます。
ブルターニュ地方は、高速道路(最高速度130KM)が無料なので、快適なドライブが楽しめます。
<私から見たフランス人>
平均的フランス人の良いところ、悪いところ(もちろん例外もいます)
フランス人の良いところ
・人生の楽しみ方を知っている
フランスには夏季バカンスがあり、1ヶ月(多い会社は2ヶ月)休みます。ちなみに日本人は適用外です。その間のフランス人の過ごし方は、近くの海に行ったり サイクリングや釣り、家での家族団欒等で、日本人のように金をかけて遠出をしません。金をかけずに十分楽しんでいます。
・あいさつ
フランス人は、ボンジュール(こんにちは)を良く使います。知り合いの人はもちろん、知らない人でもスーパーのレジや、レストランの店員、エレベーターのなかでも目が合うと、ボンジュール。これは、客側も言います。
日本人観光客は挨拶をしないので、失礼な感じを与えているようです。
皆さんが、もしフランスに行く機会があれば、ボンジュールだけは言うように心がけた方が良いと思います。
・質素
生活は非常に質素です。(良いところと言えないかもしれませんが)
ブランド品を身に付けている人は一部の金持ちだけです。
食事も豪勢なフランス料理をイメージされるかもしれませんが、庶民の食事は本当に質素です。
フランス人の悪いところ(未だによく頭にきます)
・自己中心、相手のことを考えない。マイペース。
車の運転で顕著にあらわれますが、まさに我が道をいく運転。
無理な追い越し、割り込み、絶対に道を譲らない。
よって、事故も多い。パリの事故発生件数は、日本全体の事故発生件数と同じとのこと。
・仕事の効率が悪い。よって期限を守らない。
仕事の効率がいかに悪いかは、スーパーのレジに並ぶと判ります。
客はそれほど多くなくても、平均15分、ひどいときは20分以上待ちます。
おしゃべり好きのフランス人、客に知り合いでもいたら、後続の客におかまいなしにおしゃべりが始まります。
・無責任
フランス人が良く使う言葉に ジュ ヌ セパ(私は知らない)毎日、何回も聞かされます。
仕事上では、自分の誤りを認めたり、謝ることは決してありません。
・緻密さがない(日本人は細かすぎますが)
一般的に仕事は大雑把です。
この前、パリに高速の動く歩道(時速9km)ができたのですが転倒者、けが人が続出し、すぐに運転中止となりました。
どうして、完成するまで気づかないのか不思議です。
また、私が住んでいる町に地下鉄が出来たのですが完成するまでに、何回も地面が陥没し、それを埋めながらの作業でした。
<健康診断での出来事>
会社では、年一回健康診断があり、いつも日本人とフランス人の違いを感じさせ
られます。
特に仕事に対する態度というのは、根本的に違います。
ここで私とフランス人医師のやりとりを紹介したいと思います。
(もちろん、実際の会話はこんなにスムーズではありません。)
・一昨年の健康診断で
医者『あなたは、毎日、何時に出社して、何時に帰宅しますか?』
私 『朝8時に出社して、夜は9時か10時に帰ります。』
医者『あなたの寝る時間を聞いているのではありません。あなたの帰宅時間を聞いているのです。』
私 『だから、夜10時ぐらいに帰ります。』
医者『そんなことは不可能だ。あなたは私のフランス語が解らないのですね。』
赴任当時、不慣れな点もあって、毎日残業していたのですが、
結局、信じてもらえませんでした。
ちなみに普通のフランス人は、決して残業をしません。
・昨年の健康診断で
医者『最近、体調はどうですか?』
私 『少し体がだるくて、たまに眠れない時があります。』
医者『疲れ気味ですね。1ヶ月ぐらいバカンスを取った方が良いです。私が診断書を書きます。』
私 『疲れたぐらいで、会社を1ヶ月も休めません。』
医者『私が診断書を書いてあげるのに、どうして休めないの?』
まったく話が噛み合いません。
フランス人はよく会社を休みます。それも1週間、1ヶ月単位で。
理由は、風邪等の体調不良なのですが、月曜日に『今週は休む』との連絡がしばしばあります。
どうして、月曜日の時点で、今週は出社できないと判断できるのか理解に苦しむところですが。
<フランス人から見た日本/日本人>
普通のフランス人は日本についてほとんど知りません。
日本と聞いて思いつくのは、フジヤマ、スシ、ゲイシャぐらいです。
また日本と中国は文字が一緒で、ある程度言葉が通じると思っているので中国とのコンタクトが必要な時、私に頼んできます。(これは、一部の人間ではありません)
フランス人にとって、中国人と日本人に大した違いはありません。
本当のところ、フランス人が日本人をどのように見ているか解りませんが、勤勉だということは、どのフランス人も認めているところです。
以上、取りとめの無いことをだらだらと書いてしまいましたが、フランスの悪い点ばかり強調してしまった感があります。しかし、フランスのことが嫌いな訳ではありません。
言葉の違い、考え方の違いで腹が立つことが多いことも事実ですが、フランス人が世界的には標準的な考え方を持っていて、日本人が特殊なのだと最近感じています。
ともかく、豊かな国土、親切なフランス人、仕事で関わりが無ければすばらしい人たちです。(仕事を一緒にやると・・・・ですが)
いかがですか?
何か聞いたような話がずら〜っと並んでますよね。こうやって考えると、やっぱりフランスやタイがおかしいと言うよりは、我々が特殊だといった方が正しい気がしてきます。
タイもフランスも豊かな国土、親切な国民、仕事で関わらなければとても素晴らしい、と言うことはおわかりいただけたでしょうか?タイ人に八つ当たりしてもしょうがない、そんな気を起こさせてくれるお話、皆さんのお役にも立つかもしれませんよ〜。