マイペンライ

 タイ語を知らなくてもマイペンライという言葉を知っている人は多い。
 意味的にはどういたしまして、大丈夫、気にしない、しょうがない、何とかなるさ、心配ないと複数の意味合いを持っている。
 タイ人の性格を象徴するこの言葉は多数のシチェーションで使われる。
 とても便利で尚かつ曖昧な言葉であり、良くも悪くもタイだなぁと実感させられる。

 お金が無くてもマイペンライ、仕事が無くてもマイペンライ、博打で負けてもマイペンライ、約束時間に遅れてもマイペンライ等都合の悪いことは全部マイペンライですまそうとしている。
 自分が約束の時間を5分でも待たされるとすぐ怒るくせに人には平気で1時間くらい待たせる。
 それなのに日本人は何故すぐ怒る?と良く聞かれる。1時間も待たされれば普通怒るよなぁそれなのになんていう事を言うんだと思うが実はこれがマイペンライの姿ではないだろうかと思う。
 タイではわがまま、自分勝手はいけないとされているが、タイ人はとてもわがままで自分勝手なところがある。
 それをごまかすための言葉がマイペンライではないかと思っている。

 タイ人は日本人と違って割と物事をはっきりと言う。
 例えば日本の娘は彼氏にやりたいやりたいと口に出して言わないがタイの娘は結構はっきり言う。
 しかしとても優柔不断で都合の悪いことなどはっきり言えないことは、マイペンライですませてしまう所がある。

 タイ人に近い性格の私でも思わず唸ってしまうところが多々ある。
 でもタイ人はとても憎めないのだ。怒りながらもつい笑ってしまうほどタイ人は取り回しがうまい。
 タイは戦時中唯一近隣諸国の中で植民地にならなかった国だが、このマイペンライ精神のおかげで植民地にならなかったのではないかと思う。最近のバーツ危機にしても本来ならインドネシアか韓国が先に万歳しなければならなかったはずなのに真っ先にタイが「お金ありませ〜ん」と両手を上げてしまった。だからこそタイは被害が少なく立ち直りも早かった。

 バーツ危機の際に破綻した小金持ちが何と私は昔、金持ちです。と書いたTーシャツを来てベンツをオークションに出していた。
 この変わり身の早さはタイ人ならでは。侮りがたしマイペンライ・・・・・


(とっつぁん筆)