謎の集会 2
お約束ですが、みんなの話を聞いて思い直す若者、胸をなで下ろし団結を誓うみんなの前に例の踊りの人達が颯爽と再び登場し、今度はみんなで町の歌を声高らかに歌い上げます。
最後には舞台の袖から一斉に打ち上げ花火があがり、フィナーレ。
照明も派手なら効果音も派手ながら、どこか洗練されたものを感じさせられる舞台が終わると、いよいよ候補者の演説です。
本人登場の前に彼の補佐となる人達のあいさつ。(組織がよくわからないのですが、今回の議員さんが当選すると、18人の補佐の人も自動的に選ばれるらしい。つまり腹心といっしょに議会に乗り込むという心強いシステム)
この人達は当然地元の人なので、たくさんの親戚や身内が見に来ていていちいち大歓声が上がります。
「私[名前]は、(大声援)候補者のひとりとして地元の発展になんたらかんたら。力一杯がんばります」
わーっわーっ!!ってなさわぎで、なんかの宗教みたいです。
そしていよいよ、盛り上がった会場が静まり返り、スモークとレーザー光線の中、候補者が現れると大歓声。(こわい)
演説が始まるとスクリーンには町の様子やシンボルマークが映し出され、効果音と共に話を盛り上げます。
力強い演説が終わると周りに補佐の人達が集まり、手を取り合いながらまた町の歌を歌います。
この歌、どうもこの日のために作られた立候補用の歌のようで、候補者を褒め称えているようです。
このクライマックスに、どこからともなく巨大な蛾が舞い込みました。
屋外で夜にやっているので、光に誘われ寄ってきたのでしょうが、舞台に立つ人達の間をひらひらと飛び回りまるでなにかの演出のよう。
客席からは「蝶よ!」とか声が飛びます。
虫嫌いの私だけがここで激しく動揺していたのは事実ですが、なんで他の人達が全く驚かないのか、信じられませんでした。
だってその蛾・・・どう見ても幅30cm以上あるんです。
かなり長い間舞台の近くを飛び回っていた上、候補者達にとまったりしていたので、はっきり大きさがわかったのですが、確実に大人の頭(というか顔全体)からはみ出るくらいのでかさでした。
あまりのタイミングの良さと大きさに生き物じゃなくて、リモコンかなんかで操作されてるのかと思ったくらい。
後で聞いたところ、地元の人達でもあんな大きさの蛾は見たことない人のほうが多いとか。それならもう少し動揺してもよさそうなものなのに・・・。
最後に舞台の周りから一斉に花火があがり、集会はお開きとなりました。
会場の外(家の前の道や裏の空き地)には、ものすごい数の車が並び観光地らしく、2階建て観光バスなどまでがスタンバイしていて、送迎の大々的さを物語っておりました。
だんなの話では、イスを2000脚揃えたが全員座りきれなかったそうで。
ミュージカル出演者は、現役の俳優とバンコクの俳優養成学校生(卒業生はテレビや映画にでたりするタイで一番大きなところ)だそうで、さすがにプロっぽい仕上がりに納得。
歌も内容も彼らが考えたそうですが、妙に心に残る歌でその証拠に翌日になっても、うちの息子が口ずさんでいました。
子供の心をつかむ、ある意味良い作戦かも知れません。
あちこちの参加者の家でそこの子供がその歌を口ずさみ、自然と親をも洗脳するというすごい効果があるのかも。
日頃刺激に飢えている上、お祭り好きのタイ人にとって選挙ってけっこう一大イベントなんだなーと妙に感心しました。
あまりのことに、もう一方の候補者は敗北を感じているという噂です。
ここまでやるか、という驚きと金持ちは金持ちらしい行動をとる、というタイ人の性質が良くでていると思いました。
そして、インパクトの強さに弱い素直なタイ人の心に訴えかける演出。
いやー、すごいよかったぁ。
めんどくさくてあまり行きたくなかったけど、強引に連れて行かれたおかげでいいもの見れましたよ。
久々に笑わせてもらいました。
狙いとは全然別の意味で。