第十四回
愛憎半ばという言葉はタイやタイ人とつきああうのにピッタリな言葉のように思えます。
通常の男女関係でも腐れ縁的なつながりも少なくなく「なんであんな奴と・・・」というフレーズもよく聞かれるところです。そういう状況がとても似通ってる。
現地異性からの数々のひどい仕打ちというか思い出したくもない過去があったにしても、なぜか時間が経てばまた同じような過ちを繰り返してしまう傾向が、特に中高年男性には強いようです。タイに嵌るという言い方がよくされますが、それは単にひとつのことだけではなく、いろんなものが絡み合ってタイが居心地のいい場所として最終的には結論づけられてしまう人たちではないかと思います。これまで書いてきたような要素がかなり効いてます。
男女関係に纏わる三面記事的な事例は腐るほど知ってますが、例えそれをここに一つ一つ取り上げ検証しても現に嵌ってる方々には「ふぅ〜ん、そういう哀れな同胞がいるんだなぁ」などとは露にも思わないのではないでしょうか。正に自分がそういう方向に向かってる場合であっても・・・・・。
私は十数年ここタイで暮らしてますからタイ人の良いところ、愛すべきところとともに忌み嫌う部分も併せて身を持って知ってます。もう、タイやタイ人なんかこりごりだ!と強く思う反面、タイから出てしまえばタイの部外者になってしまうんだなぁ、という思いもまた強い。あっさりバイバイしてしまえば良いものをといつも思いはするのですが。
タイ人は争いを嫌います、というより厄介ごとにあまり巻き込まれたくないという考えがとても強いように思えます。迷惑でも自分が我慢しさえすれば事は丸く収まると考えてる場合が多く他人に声を張り上げたりして注意をするというのはまず一般的な光景では見ることはないでしょう。
そういう背景というかタイ人の特質が大体において曖昧な決着や処理を生んでしまいます。心の中では「まぁ、あの日本人、真っ昼間から若い子連れて鼻の下伸ばして・・・」などと思っていても口が裂けてもそういう事は言いません。周囲に無関心のようできっちり見てるところは見ています。自分に関係のない事は興味本位に相手にわからぬように詮索するのも好きです。
当初、一観光客とし来タイしこういう曖昧な(観光客だからという甘えも手伝ってなんでも許される状況)というか周囲への無関心さをそのまま間に受けて居心地の良さと勘違いしてしまうとタイ人社会の本質を見失ってしまい後で結構こっぴどい仕返しを受ける結果となってしまいかねません。国情、国民性は大きく違っても生活する上での多くのルールはどこの国でも似たり寄ったりだから気をつけましょう。