第十三回

 タニヤやパッポンに代表される風俗に勤める彼女たちの月給というのをご存じですか?
 さぞやかなりの高級をとってるだろうと思われるでしょうが基本給はおよそ5〜6000バーツが主流です。日本円でおよそ1万5千円から1万8千円。これにドリンク手当などが加算されます。

 でも実際に本給全額を受け取ってる娘は少ないでしょう。休みも月2日と少ないので休みがちだし遅刻となれば分単位で給与から引かれてしまいます。その他いろいろな罰則があって結果基本給は大方ゼロに等しくなります。勤務態度がきっちりしてればそんな事にはならないのでしょうが。

 バンコクで過不足なしに生活できる給与は15000バーツと言われます。
 えぇ、じゃ全然足らないじゃないかとお思いでしょう。彼女たちの多くは同僚と一緒にアパートをシェアしたりで共同生活する場合が多いのです。

 本給だけでは自分の生活費さえ一杯一杯です。まして家族への仕送りとか貯蓄なんてのは無理です。こういうお店は店外デートというパターンがあって大体のお店が取り入れてます。気に入った娘が入れば連れ出し料をお店に払って一緒に出て行くわけです。退店後の行動は店はあずかり知らぬ事となってしまう訳です。

 彼女たちの多くの実収入はここから出ます。一晩お相手をすれば2〜3000バーツが直接彼女達の実入りになるわけです。売れっ子だと月4〜5万バーツにも達すると聞いたことがあります。こういう形で短期間にお金を貯めようとします。

 こういう生活を長く続けられるものでもありません。せいぜい頑張っても数年というところでしょうか。
 そういう生活の中に店で出会うお客の中にパトロン的な存在を見つけ出したいと思うのも必然的なものかも知れません。

 売れっ子以外はいつもその日の運次第的な日常を過ごしてますから安定的に収入を見込める相手が必要です。こういう思惑が当初から書き綴った男性側の思いが一致し疑似恋愛へと目出度く発展する状況が生まれるわけです。