第四回
私はタニヤやパッポンなどで働いてる多くの女性に友人が結構います。
昔からの流れで顔見知りが多いせいでしょう。
彼女達から仕入れた話は面白くもあり悲惨でもあり(お客が)なかなか興味深いです。親しくなれば私のような滞在者はお客の範疇からはずれるのでいろんな話が聞けます。
日本人がタイのお水系の女性と親しくなるには全く労力や時間は必要ありません。
そういうお店に行ってずらっと並んでる女性達から自分の好みの子を選んで指名すればそれですぐに仲良くなれます。
彼女達に撮ってはその選ばれる時が最大の仕事でそれを勝ち抜かないとお金にはなりません。どういう種類のお店であってもその基本は変わりません。彼女達は精一杯の媚を客に送り指名を勝ち取ります。
運良く指名を勝ち取り客の席についてからまた一勝負になります。話をしながらその「客の身上調査的」な行動が加わります。駐在なり長期滞在となるとすぐに身上調査は打ち切られます。
駐在ものは基本的に敬遠されるのが常です。
なぜならタイの世情について大方の事を知ってるのでお客としては上客でないのです。またタイの物価水準なども心得てるので彼女達にはまず大甘にはなりません。総じてタイ初心者が上客として狙われます。
あわよくば常連客の一人として当てが出来る。
それが1年に数回であっても数人の常連客を持ってれば彼女達は問題ないのです。
その人の訪問時だけその人の恋人になればいいのです。
で、最初に聞かれるのです。
タイは何度目?
(訪タイ回数が多い程、既に対抗馬がいるかもしれないと考える)
どこに泊まってるの?いつまでいるの?
(運良くば滞在中は毎日指名して貰うチャンスがある。また一緒に部屋に戻れば尚更そのチャンスが広がる)
何の仕事をしてるの?
(タイに来るチャンスが頻繁にあるかどうかも大体わかる)
こういう段階でお客の格付けが決まります。
後はあなたの彼女に接する態度とか性格的なものとかがどんどん勘案されます。
もし、相手を気に入って「また何月頃来るから、連絡先を貰える?」などと言えばすぐに携帯番号をくれます。その後は数時間前に出会ったのにも関わらずさも恋人風に甲斐甲斐しく振舞います。これがくせ者です。最終的に部屋に呼んでしまえばもう決定的になります。
昔、ステーヴィー・ワンダーの曲で「PART TIME LOVER」という歌がありましたね。あなたが滞在中はまさにそういう役割を担ってくれます。数日であっても結構、完璧にこなしてくれます。
反対にあなたが興味を持っていろいろ相手の私生活をゆっくり日本語で聞いても大体帰ってくる答えは同じです。「母と住んでるとか、妹と住んでるとか、友達と住んでる」とか・・・。「学費を貯めたいとか、お金を稼いで欲しいものを手に入れるとか・・」あまり細部には進みません。しかし、二人きりになって親密度も増せばいろいろと話が出ます。
またタイの地を後にして、貰った電話番号に電話をしてみれば「ややっ!」と思うぐらいの反応が返ってきます。
「いつこっちに来るの?私、あなたが帰ってからとても寂しいよ。早くタイに来てよ」などとさもあなたが言って欲しいような事がぞろぞろと出てきます。
でも、本当のとこはあなたの顔と名前は一致してない場合が多いのですが・・・。
キットゥンというタイ語があってかなり拡大解釈を日本人にされますが英語でいうとこのI MISS YOUです。しかし、家族や故郷を思うときにも使われるかなり曖昧な言葉です。これが連発されます。
まだ訪タイの余韻冷めやらぬ内の電話で再度タイに後ろ髪を引かれてしまいます。
これらは本の序曲に過ぎずここから一歩踏み出すか踏み出さないかで(それも無意識にですが)ロケットの行き先が大きく変わります。
そこで忘れることが出来る人はそのままロケットは失速し次の打ち上げまで準備期間となるかそのまま忘れ去られるでしょう。ただ、何度もこういう経験をこなす内に簡単に若い恋人が出来る状況が当たり前だという認識が形成されていきます。麻痺してしまうんですね。
人間、わかっていても止められないという事が結構あります。こういうケアをされてると先に書いた「海外旅行・滞在の心地よさ」=開放感や「青春の再来」の錯覚現象などが相乗効果を加えタイに嵌まって行く一つの大きな取っ掛かりになっていきます。これはまだまだ序の口にすぎないのですが。