第二回
さてさて前回では簡単な自己紹介とこのコラムの意図を書きました。
第一回の今日は前回でもちょっと触れました「加速度的に中年・壮年をタイに嵌まらせてしまう複合的な要因」を2〜3説明しておきます。
単に自分の好みの異性に出会ったからだけではそんなに人生を誤ったり大転換をしてしまう程の力はないと思います。それを可能にするのが今から書きますロケットで言えば補助ブースターエンジン的要素です。
メイン・エンジンだけでは浮き上がるのがやっとなのを補助エンジンを2〜3個つければ一気に大空のまっただ中まで押し上げます。それがそのまま失速して墜落するかそのままグングンと高度を上げて行くかは嵌まった直後の結果や経験で決まります。
このコラムが本格的な個々の「ケース・スタディ編」に入る前に少々頭に入れておいて欲しい事があります。嵌まり方を一気に加速する複合的要因を1〜2つ知って欲しいのです。
その補助エンジン的要素の第一は「海外旅行・滞在の心地よさ」です。
海外旅行は国内旅行と違ってすべての環境が非日常の世界に突入します。言葉、景色、食べ物などなど、生まれて初めて接する世界と言っても過言ではありませんね。何せ「お客さん」ですからどこに行ってもちやほやされます。
最初は一通りの観光旅行で終わり特に理由がない以上は他の国への旅行へと興味が移ってしまうのが普通です。余程その国が自分に合ってた場合はリピーターとして何度も同じ国を訪れます。
タイ語で「ナァー・ユー」という言葉があって居心地がいいと訳します。私のタイに対する感想はこの一言「ナァー・ユー」に尽きますね。
よくよく考えて見ると日常の生活はどこの国でもそんなに大きく様変わりするものではないでしょう。だったら生活し易い自国での日常がベストですがそれを上回る要因があれば行動的な人は(無謀な人も時には混じりますが)海外に出てみようと思っても不思議ではありません。
海外での「ナァー・ユー」な生活は多分本人は気付いてないかもしれませんがある種、劇場の舞台にいるような感じではないかと思うのです。
本人はその舞台上で一人の日本人を演じてると思えば分かりやすいかも知れません。
日本では普通、目立たない日常の役をこなしてる人が異国という舞台に立つだけでいろんな状況において自然と注目度を得ます。本人にとってこれは意外といい気分であり新鮮な感じではないかと思う。無意識に大きな割合いを持ってるのではないだろうかと私は感じてます。
自分の住む国の環境や光景と違うし見るもの触るもの全てが新鮮だと言っても、それは最初のうちだけですぐに慣れてしまい、それは日常の光景へと変わっていきます。
しかし異国人として「お客さん待遇」というのはその地を離れるまでずっと続きます。人間だれしもちやほやされて悪い気はしない。例えばタイ人がタイ人を思い計るのとは別でタイ人が外国人に対して接するそういう特殊な気配を毎日感じる訳です。この「自分は少し特別な存在」というのが旅の居心地がいい理由の一つというのは穿ち過ぎでしょうか?
日本に帰って空港に降り立つとそこからは単なる日本人社会を構成する一人という位置づけに戻り、淡々と普通の日本人を演じて行く変化のない日常が待ってます。
旅や長期滞在で感じた「少し目立つ特別な存在」という味をしめるとそれをまた経験したくなります。その体験に人々はいろんな理由付けをします。
でも本当のところはその舞台上に立てば、また「少し目立つ特別な存在」というポジションが得られるというのも大きな理由じゃないかなと思います。
旅の楽しさをそんな風に説明するなんてけしからん!とお思いの読者もおられるでしょうがご自身そんな風に感じられたことは一度もないですか?
次回では補助ブースターの第二要因をご説明します。