タイのお寺

 まずはタンブンから

 タンブンとは善行を積み立てることです。具体的に言いますと、お寺に寄付したり僧侶に供物を分け与えることがタンブンになります。そして、最大のタンブンが、僧として「出家」することです。
 
 人口の96%が仏教であるタイでは、基本的に人々の考えも仏教の教えに則ったものになります。「ブン(徳)」を積むという事は、輪廻転生を信じているタイ人にとって、現世そして来世における幸せを願って行う大事なモノです。出家をする事、そして女性は自分が出家できないので、自分の子供が出家する事は、もっとも大事な行事の一つです。(しかし最近タイの僧侶はお金儲け、女遊びと新聞をにぎわしており、タンブンになるのかなという気がします。また、この出家中は日本的な修行と違い、タンブンされたご飯がたらふくあるので太ってしまう事も多いようです。もちろんほとんどの僧侶がまじめにやっていますよ)

 タンブンとして、僧侶に与えるものはなんだってかまいません。現金でも食物でもなんでも平気で、しかも与えれば与えるほどよい結果が待っていると考えられています。また僧侶だけでなく、乞食たちにものを与えることもタンブンになるといわれています(しかしタイ人は子供を抱えて歩道橋などで座っている人達は、仕事でやっているという事がわかっているのでお金はあまりあげませんが)。

 また、よくお寺に行くと見かけますが、小鳥や亀や魚を買って、それを逃がしてあげる事によって自由を与えるという意味で、これもタンブンに当たるそうです。

 タンブンは、どこでも出来ると言う事です。朝、オレンジの袈裟を着たお坊さんに托鉢したり、お寺に行って寄進したり、自分が出家したり…。そして、この他に仏教で言う五戒を守る事もタンブンです。五戒とはモーゼの十戒ではないですが、殺すな、盗むな、犯すな、嘘をつくな、酒を飲むな、と言うモノです。これを守って…いる人はあまりいませんねえ…。

 我々と感覚が違うなと思わせられる事がここにあります。タイ人は、自分がこの五戒を破ったとき、タンブンをすると許されると思ってるという点です。つまり極端な話、人を殺してもタンブンすれば許される、許してもらえると思ってる人が多いと言う事です。ある意味都合良い考えなのですが、タイ人は基本的にこういう考え方をするように思えます。

 さてここでは、タイのお寺でタンブンを積む方法を紹介します。

 たとえばワットプラケオに行ってみましょう。ここは本道にエメラルド色の像を祭ってある事からエメラルド寺院などともいわれています。行く前にはかならず服装をととのえてください。短パンにTシャツではだめです。長いズボン、スカートなどがいいでしょう。またサンダルではなくちゃんと靴をはいて行きましょう。
 さてかんじんのタンブンですが、ここの寺にはお坊さんがいないのでご飯などはあげられません。しかし日本でいうところの<賽銭箱>がありますのでここに自分の気持ち(お金)をいれましょう。

 これで終了です。これだけの行為で自分がした悪い事が許される、来世では幸せな人生を送れるということが信じられています。心にやましい事があるひとはタンブンによって救われてみてはどうでしょうか。

 タンブンの際の注意点です。女性はお坊さんにふれてはいけないですし、声をかけてもいけません。また、子供のお坊さんがかわいいからと言って、頭をなでてもいけません。頭は神聖なものとされています。

 お寺でも道ばたでも、僧侶がいるところにはほとんどタンブンセットが売ってます。これを買ってタンブンすれば、心がすっきりして、タイ語で言う「サバーイ チャイ」になれますよ、きっと。