タイの労働者(030808)

 タイにきた当初、すでに何年かタイに住んでいらっしゃる方から<タイ人と一緒に働いてタイ人が嫌いになった>という話を聞きましたが、その事は実際に働くと嫌というほど感じます。
 全体的にタイの労働者と言うのはやる気があまりありません。(極一部しっかりと働くタイ人もいますが。。。。)
 それは何故か?もちろん熱帯の国で仕事のやる気があまりおきないというのも理由としては挙げられますが、本当のところは<いくら頑張って働いても自分にはその利益は跳ね返ってこないから>です。
 工場勤務の労働者などが典型的な例です。
 田舎の工場に行くと日給で150Bなどが当たり前です。
 150Bって日本円でたったの450円です。日本の価値観から考えるとまったく想像することができない給与です。
 私は以前にとある工場の管理者として働いていたことがありましたが、そこでの労働者の日給で一番もらっている労働者でも240Bでした。(日本円で720円)タイ人系列の工場では10年間も働いているのに日給180B(日本円で540円)という労働者もたくさん見てきました。
 このようにタイの会社では労働者が働いて生み出した利益はすべてオーナーのものになり、労働者は何の恩恵も得ることができないというシステムが長い間続いており(現在もそうです)。
 そのような文化をもつ国民に一生懸命働いてもらおうというのはかなり無理があるともいえます。確かにいくら働いても何も自分の状態が変わらないと言うのであれば、日本人でも働く気力を失ってしまうかもしれません。
 また、このような文化で働いてきた両親を見て育ってきた子供達が大人になっても同じように働きます。もう一つタイの労働者の働く気力がない理由の一つに<お金持ちだから>という理由も存在します。オフィスワークをしている人によくみられる光景ですが、月給1万B(日本円で3万円)にも関わらず、100万B(日本円で300万円)もするスポーツカーなどに乗って通勤する労働者がいます。とても毎月の給与ではまかなえません。相続税がないタイのシステムが生み出した副次的なものですが、給与があってもなくても生活はまったく変わらないという労働者が多数タイの社会には存在します。
 このような労働者にも仕事のやる気を出さすのは難しいといえます。
 中間層が存在しないといわれるタイ社会ではこのように、労働者が職種は何であれ2つのグループに別れ双方が仕事に対してやる気をもたないという結果を生み出しています。
 階級社会のタイでは支配する側と支配される側がはっきりと区別され、貧しいなかからの成功というのはまっとうな手段では難しい社会システムができあがっています。
 おそらく政治家などがこのようなシステムを保つためにコントロールしていると思いますが、このシステムはこの先も長い年月にわたって続いていくものと思われます。
 そしてこのようなシステムが続く限りタイ人労働者の仕事に対するモチベーションもやはり低い状態が続くと私は思います。このシステムを変えるには労働者に対して一生懸命働いて会社が儲かれば労働者にもお金(ボーナス)としてかえってくるという意識を常に持たせモチベーションをあげてやることが必要になってくると考えます。
 今までのタイの会社のようにオーナーが利益をすべて持っていくと言うのであれば、労働者は変わらないでしょう。外資系企業の中にはこのように労働者を育てていこうというところも少しづつ増えてきましたが、まだまだ一般的ではありません。
 武士は一生武士、農民は一生農民というような日本の古いシステムからタイが変化していくかは国民全体の意思と企業の体制によると私は思います。