年一の息抜き

 私の会社は年に1回慰安という事で社員旅行があるという事を工場長から聞いていた。今年もそういう時期に来ていた。ただ、前回は非常に凄惨なようだったのである。

 会社は二交代勤務なので土曜日の昼勤まで行ない夜勤はなしにして、作業終業後の5時に会社を出発しようという予定だったらしい。ところが、頼んでいたバスが他の会社の通勤に使われていたようで、会社に来たのは3時間後の午後8時過ぎだったそうだ。
 まずここで最初の遅れがでたのである。(他の会社の通勤バスとは何ともタイらしい・・・)
 それから、タイ人の大好きな海へ向け出発。
 目的地はラヨーンとの事であった。

 何処の社員旅行でもそうだが、バスに乗ってしまえばすぐに宴会の始まりである。
 タイにいる人なら知っていると思うが、田舎の方からバスで遊びにでる時はバスの中はディスコ状態になる。太鼓を叩いたりしながら皆が踊りだす。そうして、ウップンを晴らすのだろう。
 当然酒が入ればテンションは上がりそして生理現象が近くなるのは当たり前である。
 バスはちょくちょくガソリンスタンドに寄る事になる。
 ここで二つ目の遅れが拍車をかける。

 余談だが、タイの主要幹線道路のガソリンスタンドは日本でいうドライブインと同じで何処に寄っても大きなトイレがあり、と同時にお土産を売っている店やコンビニが必ずある。
 そこでまたアルコールの仕入れが可能になる。
 ドライブインではなくガソリンスタンドでアルコール類を売っているのである。

 日本では絶対あり得ない事の一つだろう。

 話を戻すが、何とかラヨーンに着いたのは夜中の12時を回っていたそうだ。本当ならもっと早く着いて、キャンプファイヤーでもやる予定だったのだろうが出来なかったらしい。しかし、飲む事は出来る訳で皆朝まで起きていたようだ。
 しかし、そこでまた異常事態が発生した。
 俗に言う急性アルコール中毒になった者がでて病院に行ったというのである。
 その後も、従業員同士での乱闘があったりで、何とも予定外の出来事が多数起こったという事であった。

 
そして、朝にはもう帰路につくとの事で、殆んど海に入る事はなかったそうだ。
 こんな内容だったのでタイ人工場長は今後バス旅行は二度といやだと言っていたそうである。

 そして、今年はどうなったかというと、同じように土曜日の夜勤をなくしてパーティーをする事になった。
 会社の状況が今一つという事もあり、あまり金をかけないようにという事で会社から程近い川で大きな船に乗ってのアユタヤまでの遊覧船上パーティーをする事になったのである。
 川は会社から15分位の所にあり、何百人も乗れる大きな船がある。多分、チャオプラヤー川とつながっているのであろう、毎日タイ独特の大きな貨物船が川をさかのぼって行くのを眼にする。その位大きな川である。

 その船で酒を飲みながら食事が出来るわけだが、バンドや歌手もついての宴席なので当然アルコールがまわれば、みんな踊りだす。
 バスの変わりに、船がディスコになる。
 でも、私が思っていたより皆おとなしい。女性陣は結構積極的に踊っていたが、男性陣は遠慮をしていたのであろうか、あまり騒ぐものがいなかった。

 酒が足りなかったのか、それともこの遊覧が終わって陸に上がってからと考えていたのか?
 年に一度の会社全体での催し物なのだから、もう少しハメを外しても良いと思ったのだが、やはり、前回の経験が尾を引いていたのか?

 そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ船は約3時間の遊覧を終えもとの船着場に戻ってきた。
 来週からはいつもの仕事が待っており、楽しい催しである《息抜き》はまた1年後にとなったのである。

 でも、私は結構飲んだので次の日(日曜日)は久々に朝遅くまで?寝る事ができ、疲れを取ることが出来たのでとても助かった。これは、本音です。

 管理人から
 タイ人の旅行はすごい!バスでも列車でも、なぜかある太鼓などの楽器。それはそれは果てしなく続く宴会。もちろん酒も。歌う踊る叫ぶ!何処にその体力があるのだろうかと言うほどに、ひたすら続く。目的に着くまで。目的地に着くころ、さらに盛り上がりを増し、さらにひたすら飲む。いったい何のためにそこまで行っているのか?移動自体がメインイベントとしか思えないようなタイ人の旅行、皆様も是非一度お試しあれ。半端な気持ちじゃついていけません。