タイで映画を見る その3

 究極のただで映画が見られる方法があります。
 これは運しだいですが。
 上映場所は、その辺の空き地や路地。
 どこからともなく現れた一団が鉄パイプを組み巨大なスクリーンを設置しはじめるのが合図。
 その現場を目撃したら、その夜は映画2本か3本が楽しめるでしょう。

 これは、善意の寄付で行われている映画会でスクリーンと映写機を運んできて、どこでもそこで映画をやってしまうという趣向です。
 寄付はお金持ちに限らず、宝くじが当たったとか、子供の誕生日だとか
 息子が出家した記念(成人男子は数ヶ月の出家を行うのが習慣です)などまあ、なんかめでたいときにその喜びを皆で分かち合おうということだと推察されます。

 まず「今日映画でもやるか」と思ったら、もよりの出張映画の会社に連絡をし、見たい映画を決めます。
 料金は映画によって違ってきますが2000バーツくらいから。最近公開されたハリウッドものなんかは、もちろん高くて、20年くらい前のタイ映画なんかだと格安です。
 後は、場所と日を指定すると、スクリーンとスピーカー、映写機などを運んできてくれます。

 観客は、うわさを聞きつけ口コミで集まってきます。
 どなたでも大歓迎、大人も子供も近所中からかけつけて、親切な誰かに感謝しつつ、映画を堪能します。
 上映開始は、すっかり暗くなった8時ごろ、後は深夜まで星空のもと延々と続きます。

 ただ一つの問題は、その騒がしさ。
 派手好きなタイ人のこと、巨大スピーカーから流れる音量はこれでもかというくらいでかく、四方八方に響き渡ります。
 はっきりいって近所迷惑。
 別に映画を見たくなくても、無理矢理音を聞かされ続けるわけで、日本人にはとても耐えられません。

 しかし、タイの人は馴れているのか、お互い様なのか、全く怒ったりせず、むしろ喜んでいるのでした(たぶん)。