プーケットのお葬式 3

 出棺の合図は、独特の演奏で始まる。
 トラックの前にある小型の軽トラに、太鼓や笛などの楽団(近所の人達)が待機していて、軽快な独特の音楽を演奏しつつトラックを先導する。
 それを合図に、参列者の車の列が続く。車には、赤いリボンが目印にくくりつけられるが、何十台も続くため、渋滞となり警官が交通整理に来たりする。

 海の見える火葬場のあるお寺につくと、トラックをバックに親族一同で最後の記念撮影が行われる。この写真は最も大事な写真で故人を偲ぶため、これがそのまま、家の壁に飾られることになる。

 お坊さんにお経を上げてもらった後、火葬場に親族が棺を安置する。
 棺の上には、たくさんの切り花が散らされる。
 最後にひとりひとり、紙で作った飾りのようなものを棺に乗せてお別れの言葉をかける。

 私が見たのは、ここまでである。
 その後は火葬されるが、タイにはお墓がないので、遺骨がどうなるのかはわからない。
 灰は、海にまかれるのだと聞いた。

 親族はその後、黒い衣服を身につけ、少なくとも1週間は喪に服する。
 その間は親戚同士で集まって食事をしたりするようだ。
 プーケットの人は家でくつろぐときには、洋服でなく筒型の布を体に巻き付けていることが多いが、その布も黒のみを使用するという徹底ぶりには、さすがにびっくりした。

 日本のように、初七日や四十九日という法要の日が決まっている訳ではないが、1ヶ月目などにお寺にお供えをして、供養することはあるようだ。

 私の個人的な感想としては、これほど盛大に多くの人にお別れをしてもらい、またお祭りのような楽しい音楽と共に見送ってもらえて人生に満足してあの世に旅立って行けるような気がする。