インターナショナル女子ムエイタイスーパーフライ級王座決定戦観戦記
〜 2003/12/26 バンコク・フューチャーパークランシット〜

 今回の試合、実は突然決まった試合でして、連絡があったときも「まだ内密に」という話だったりしたくらい。なんせ「幻のタイトルマッチ」にて紹介しているしている試合自体11月のもので、この間が2ヶ月とないのだからちょっとした驚きでした。が、一人だけ団体も違ったりして、来るか来ないか最後までわからなかったりして、相変わらずやきもきさせてくれる女子ムエタイ界でした。ま、この辺の事情は結構大変なのですよね、どの団体も。
 で、本来はWMCつまりアジアチャンプを決める戦いだったこの試合も、日本から3人の女性ムエタイ戦士が来ると言うことでいつの間にかインターナショナルに格上げ。っていうか、元々それがどこにある団体なのかさえわからないところがいかにもタイらしい。まあ、プロレスが各団体ごとに世界王座を持っているようなものですからね。とは言っても、それほど大きくないこの女子格闘格闘界ですから、世界王者自体がほぼいなかったりします。ましてやムエタイをやる女性はタイと日本以外にはほとんどいないわけで(キックボクシングならいますが)、今回チャンプになるということは、事実上世界一強い、といっても過言ではなくなるのかもしれません。


 で、この三人と言うのが、左から我らがおーどりーことNORIKOと、WINDY智美、そして渡邊久江でして、特にこのWINDY智美はおーどりーさんも引退試合に、と言っていた相手であります。(ちなみに左の男前の男の子はおーどりーさんの息子さん)
 さて、これまでタイで6戦6勝の戦績を誇るおーどりーさんですが、初めて空港で歓迎式なるものがあったそうでびっくりしたとのこと。到着早々子供達がタイ舞踊を踊ってくれたとのことです。さらに、試合前日の計量では、こんなにくるか〜?と言うほどのマスコミの数。管理人もその場にいてびっくりするほどでした。


 これが前日計量後の記念撮影シーンです。よーく見てください。おーどりーさんの隣にいる傍目には男性に見える強そうな人、これが今回のお相手アシアン・チョー・インスワンです。どうです、マジで強そうでしょ。相手を見てかなりビビったとおーどりーさんも言ってました。最初トレーナーだとマジで思いましたからね、みんな…。ちなみに試合当日は口紅をさしておりました、はい。


 そう、実は今回の試合は3大タイトルマッチもさることながら、渡邊さんの相手が現役バリバリの演歌アイドル(4TEENという全員ムエタイのできるルークトゥンのグループ。一番若い子はなんと8歳)だったからなのです。しかも弱冠15歳。レコード会社(RS)のプロモーションもかねているため、それだけでマスコミの注目度は増します。みんなが来る数日前からテレビでもやっていたようで、マッピーなどは「NORIKOさん、テレビに出てたよ」と知らないうちにテレビで見ていたようです。そう、この試合はタイ全土に生放送なのです。海外でもネット中継で見た方もいるかもしれません。


 会見が終わり、それからイングラムジムに直行。ここであのサムゴーにワイクルーを教えてもらうことに。実はおーどりーさん以外はワイクルーが踊れなかったというか、ムエタイ経験なし。で、ネタ的にもっていうことで、今回の主催者であるイングラムジム所属であるサムゴーにワイクルーを教えてもらえば、絵的においしいと言うことなのでしょうが、サムゴー自身は「俺ワイクルー下手だからヤダヨ」と逃げまくり。渋るサムゴーを捕まえてやっとやらせたものの、超おざなりな指導。笑いました。


 相手が思いの外、強そうだと言うことでかなりテンパっているおーどりーさんの荷物と息子さんを引き取りに控え室(と呼んでいいのだろうか?)にいく管理人。ちょうどバンテージを巻いているところでした。今回はいつもと違って、マンカップが胸にも入れることになり、「いつもよりも巨乳だ」とギャグをとばしているのですが、顔にはゆとりなし。。。


 さて試合会場のフューチャーパークランシット特設会場。オイオイ、いくらこの時期一番暑くないからって屋外かよ、って感じです。スポンサーのグラティンデーンとRSのブース一色に染まる会場。4時に始まるのですが、もうすでに席は満席、立ち見がちらほらとでていました。後で発表を見るとなんと3000人も来ていたと言うことですが、それは間違いなく嘘だよなあ。。。


 リング脇に設けられたお偉方の席。このくそ暑いさなか、くそ暑い格好で、日に焼けたソファーに座っている姿はかなり大変そうでしたが、そんな状況でも汗をかかないタイ人はほんとにおかしいのでは?と思ってしまってものです。


 お〜、まるで男のムエタイの試合を見ているかのようです。まるで夢のよう。女子ムエタイはほとんどこういう檜舞台にはなりませんからね、ある意味今回のイベントはタイでも有数のイベントだったわけです。っていうか管理人的には初めて見ましたよ、こんなの。ファイトマネーもこれまでで一番だったそうです…。


 得意のワイクルーを踊るシーン。1分間で終わらせるようにと言う指示のもと早く終わったおーどりーさんといつも通り淡々とこなすお相手。うーん、やっぱりタイ人だなあと思いました。


 試合開始。第1ラウンドは様子見からか緊張からか、いつものように前に行けないおーどりーさん。前に行くどころか、逆に押し込まれてロープを背にする始末。応援している日本人はかなり心配になる。おーどりーさんのケリや膝が入らないところにいいポジショニングしているよう。得意の首相撲になっても投げることができない。かなりいい足腰をしている。それどころから投げられそうになるのだから冷や冷やもの。お互い投げて倒れた後、かなりもつれておりましたが、どうも相手が倒れてから離さないらしのが原因だったようです。


 前ゲリがヒットして後ろに跳ねとばされるおーどりーさん。序盤はあまり優勢に試合を運べず。特に必勝パターンである右手で抱え込んでの左ヒザ、を使うことができない。相手がそれを警戒しているのか、その間合いまで入れない様子。明らかにやりにくそう。が、手数と、パンチ。これはもうスタミナの続く限り、打ちまくっている。ラウンドが進むにつれていいパンチが入るようになる。明らかに顔が後ろにのけぞっていて、白目をむいているのに倒れるどころ構えに出てくる相手。おーどりーさん曰く「何で倒れないの?」…。しかもバッティングをくらい、おでこが大腫れに。


 かなりの苦戦を強いられつつも確実にポイントを上げているおーどりーさん。試合中、セコンドよりも管理人の声の方が聞こえていたようだ。実は、おーどりーさんの息子を試合中肩車しながら応援リングサイドで応援してたわけで、試合開始直後は必ず息子の顔を見て気合いを入れ直す彼女を見て、やっぱりお母さんは違う!と思ったものでした。最終5ラウンド前には、我々もコーナーまで行き、息子さんの手によって汗を拭いてもらったおーどりーさん。これで最後のラッシュへのスタミナが出たはず!。実はこのときタイ人トレーナからは「もう勝ったよ」と言われていたのですが、気を抜くとやられるので、ひたすら前進命令。間違いなく全国放送に管理人の日本語が飛び交っていたことでありましょう。。。ちなみに最終ラウンド、相手がいきなり抱きついてきてのを見て、おーどりーさんも「相手はへばってる」と確信したそうです。


 KOこそならなかったものの、50−47、50−47、50−48の3−0判定勝ちを収めました。さすがね、って感じですね。本人はかなり判定が不安だったらしく、かなり緊張していたようです。そして判定勝利がわかった後、、、涙を流していたのを管理人は見逃してませんぞ。いつもの試合と違って副賞がたくさん。


 お偉方に祝福されるおーどりーさん。見てみてこのベルトのでかさ。さりげなく見える力こぶもすてきです。
 試合後のコメントで「もう戦車のように前に前に出るだけです」と言ってましたが、戦車にもバックギアはあるってね。。。ホントこのファイトスタイルは皆さんに見せてあげたいですよ。これで負けても気持ちいいくらいですから。これでとうとうムエタイの戦績は8戦8勝7KOになりました。果たしてどこまで行くのやら………。

 ちなみにこの日行われた他の試合の総評を。スーパーバンタム級王座決定戦はダーオプラスック・ペットオパーがWINDY智美を判定3−0で下しました。WINDYさんはムエタイとやるのが初めてだったらしく、全く勝手のわからないままに終わってしまったようです。キックとは間合いが全然違うんですよね、先に少しでもムエタイとスパーリングしておいたら、少しは結果が違ったのかもしれません。
 そしてある意味会場が一番盛り上がった試合、ライトフライ級王座決定戦。例のムエタイアイドルナムワーンノーイ・サックブンマーにはかなりの応援が飛んでおりました。まさにアウェーと言った感じです。しかも、アイドルだからとなめてはいけません。これがまたいいキックを放つんですよね。それにたいして一歩も引かない渡邊久江でありまして、まさに緊迫した試合展開。最終ラウンド前、タイ人トレーナーからだいたい引き分けだと教えられ「まお、ここでたくさんをを出せば勝てるから、教えてきて」と言われた管理人、大応援団に負けないような声で応援させていただきました。その甲斐あってか、判定は2−1(49−48、48−49、49−48)となり見事勝利を収めました。ナイスファイトです。が、何よりも驚いたのは、そのアイドル。判定が終わってまずマイクを持ち(オイオイ、タイ人がマイクアピールか?)、「今日は応援に来てくれてありがとう。負けちゃったけどがんばったら許して〜」みたいな事を言ったやいなや、いきなり歌を歌い出すではありませんか。お〜、あれだけ戦った後にまだ息も切らさずに歌を歌えるなんてすごいよ、あんた。しかもさすがにルークトゥン歌手、なりなりにうまかったりするのです。これはかなり驚きでした。

 もちろんこの後祝勝会があり、焼き肉をほおばりながら打ち上げました。はたして、おーどりーさんのタイ8戦目はあるのか?それはまだ未定であります。。。