幻のタイトルマッチ 〜ディファ有明〜

 本来アジアタイトルマッチを賭けた戦いになるはずだった、11月2日のM−1での我らがおーどりーひっぷばーんこと、NORIKO(角田紀子)VS18歳にしてすでに50戦以上こなしているタイの現役女子高生、ニッノーイの試合の観戦記でございます。
 ちなみにこれを見る為に日本に行ったと言っても過言ではありません。前日の計量からおーどりーさんご家族と一緒に楽しませてもらいました。当日もエバンさん家族をはじめとするたくさんの方々と一緒に応援するしてまいりました。生まれて初めてりんかい線にも乗れたし(高かったけど)。。。それにしてもディファ有明はわかりにくい場所にありました…。

 試合当日の事は、管理人よりもエバンさんの観戦記の方が詳しく書いていますので、そちらをご覧下さいませ。

 さてと試合内容。
 入場は当然本当は挑戦者であるはずのニッノーイが先です。しかも思いっきりタイのディスコで聴いた、しかも懐かしい予感のする曲。一部に陣取っているタイ人観客から嬌声が上がります。会場が小さいので、入場にはそれ程時間がかからずリングイン!さすがに50戦以上しているだけあって、リング上での緊張感は見られません。なんか、余裕って感じです。さて、その後のコールで、おーどりーひっぷばーんことNORIKOの入場です。そして音楽は、、、バードの「フェーンチャ」です。イントロ長いからあまり早く出るなって言っておいたのに、あっという間に出てきました。チャンピオンなんだから少しは引っ張れってねえ。イントロが終わって「フェーンチャ チャン マーレーウ チャ!」と聞こえてきた頃にはリングイン。せっかくこの歌で相手の戦意をそごうという作戦が。。。でも一部タイ人には受けてましたぞ、この曲。

 で、リングアナのコールが終わり、ワイクルーが始まります。さすがにニッノーイ、タイ人だけあってワイクルーは手慣れたもの。非常にきれいなワイクルーを踊ります。それにしても、やはり体重差5キロの体格差はかなりのモノです。ニッノーイが先にワイクルーを終え、その後おーどりーさんが舞を終えます。ちなみに彼女、これまでの戦績がなんと、50戦を超えるというのだから驚きです。

 そして運命のゴング!

 まずはファーストコンタクト、相変わらず突進していきます、おーどりーさん。これはもう間違いなくムエタイのファイトスタイルではありません、、、が、これが彼女の持ち味なのですから、文句のつけようがありません。突っ込んでいくおーどりーさんに対し、タイ人らしく左ミドルで応戦するニッノーイ、まだまだチャンピオンの実力を知らないわけで、まずは小手調べという感じです。ある意味見事な蹴りです。しかし、いかんせん体重差が。。。一発ボディに入ったモノの、普段からボディを鍛えているおーどりーさんは(前に管理人のパンチくらいなら余裕だと言われた…)その蹴りをモノともせずにさらに前進。得意の右のリードからの左フック、そして捕まえての左ヒザ!と言うパターンに持ち込みます。


  
 実は試合前、おーどりー夫妻と管理人でこんな話をしていました。前日計量を終えた時点で、「見てみてまおさん、史上空前のおなか」。そこには前に見た筋肉隆々のおなかではなく、これ以上細くしようがないほどに凹んだおなかが…。
  
 「うわ、何これ」。
 そうです、この試合相手のニッノーイの体重調整の失敗もあり、51キロの契約体重が、試合の数日前に50キロになってしまったのです。ちなみに普段の試合は52キロ。すでにそれでも細いというのに…。もう最後は何も食べないでヘロヘロ、逆に相手は増量して挑んできているわけで、もう体調は万全。血色いいの何のってもう、まるで観光気分であります。その計量が無事に済み、一応相手とも顔見知りの管理人が挨拶に行ったついでに、腕を触ってきました。お〜、やっぱりタイ人、細ええええええ。帰ってきて第一声
 「あの腕ならパンチはいくら受けても大丈夫だよ」。
そして横からおーどりーパパさん(ダンナさん)が、
「負けるわけないって、逆にお客様の為に1ラウンドKOはダメだ、もう少し引っ張るんだ」。とある意味プレッシャーを与えているような言動。そしてそれに輪をかける管理人。
「じゃあ、2RKO、と言う事で…」。
しかし、すでに体調ぼろぼろのおーどりーさんは、
「もう5Rもつ体力ないんで速攻で勝つしかないです…」
「今ならどんなパンチでも倒れるかも…」
などの弱音続出。じゃ、やっぱり短期決着、2RKOだね!!と言いながらみんなで焼肉をつまんだものです。(おーどりーさんは横でおかゆを食べていました、ごめん!)
  


 そして1Rも中盤になると、すでに実力の差が如実に出てきます。そう、前々に出ながら得意のパターンに持ち込もうとしているおーどりーさんに対し、その前進を蹴りで防げなくなってきているニッノーイの手数が少しずつ減ってきたのです。そしてあの反則とも言えるような右手で相手の頭を抱え込んでの左ヒザ炸裂!
 この一発で思わずダウンするニッノーイ。女子ムエタイでこのやり方をするタイ人はほとんどいないです。だいたいがキックの応酬、そしてエキサイトするとパンチ、と言うか殴り合いです。おそらくこういうタイプの選手と試合した事はないでしょう。実際に彼女と向き合ってスパーリングすれば分かるのですが、前へ前へ来るのでスゴくやりにくいのです。と、男の私が思うのですからかなりのモノです、ハイ。そしてその後もラッシュが続き、相手がダウン。横で見ていたエバンさんは大喜び。さらにエバンさんの奥さんもタイ語でエキサイト!しかしこの段階で管理人は、「少し休め〜、2Rまでもたせ〜!」と声を出していました。
 そして管理人の願いが通じたかのようにゴング。
 もうすでに相手はふらふらです。でもさすがと思ったのは、それでもちゃんと2R始まる前に投げずに試合を続行した相手です。タイ人らしくなく、少し感動。
 でももう、この段階で試合は決していました。それからも結局ニッノーイは前に出る事が出来ず、技も左ミドルしか出せなくなっていました。2R目2度目のダウンを奪われた時、もうダメージだけでなく、「この人には勝てない」と判断したようです。

 おーどりーさん、見事2RKO勝ちでございます。


 試合後、祝福に駆けつけるおーどりーパパさんとおーどりー息子さん。KO賞も頂き、3人で記念撮影!


 そして息子さんがリングから降りるのを手伝うおーどりーパパさん。そしてもちろん殿はおーどりーさんのリングアウトを手伝っていた姿はなかなかにすてきでありました。


 全試合が無事終了し、そのままみんなで日暮里で祝勝会。ここに来た人たちはみんな元気というか何というか、、、朝からイベントをこなしてきたとは思えない人ばかりでした。結局、終わったのは朝6時。。。それから各々帰宅の路についた皆さんを尻目に、雀荘に足を運んだバカなやつはがいた、とだけ報告させて頂き、今回の観戦記を終わります。