10:増量や〜

 「シロウトが防具を付けてリングの上で殴り合う」
そうイメージしていたSBアマ大会は実際は全然違うものでした。

 アマ大会で優勝するとプロデビューできる、というプロへの登竜門みたいなものだったのです。
 実際SBにはプロテストというものは無くプロで活躍している選手は(キックから転向という場合を除く)みんなそのアマ大会で優勝している人達なのでした。

 その全国大会まであと1週間。
 シーザージムには当時2名の女子のプロ選手がいました。
 N村選手とK林選手です(今はもう引退しているのでイニシャルにしときます)。
 N村選手とはその時点では会った事はありませんでした。
 K林選手は私のひとつ年上で高校生の時からやっていて今は大学生でプロ選手、という凄い方なのでした。
「あと1週間しかないけどスパーとかやったことある〜?」
と聞かれシーザージムではまだやったことはないと答えると
「じゃあやってみようか」と言って下さいました。
 アマ大会は3分1R。ドローだったら延長1分です。
 でも練習は普段どうりの1R5分です。
 1Rだけの約束でしたがムチャクチャへろへろでした。
 おなかを蹴られると苦しい。顔を殴られると涙がでる。
 足を蹴られると立っていられない・・・そしてなにより1Rが永遠に感じられる・・・・・
 ああ・・・。
 10キロ位の体重差があるにせよそれはないだろ〜と言うくらいのやられっぷりでした。
(もちろん手加減してもらっています)
 おまけにマウスピースまだ作ってなかったし・・・。
 アマ大会は男子は軽、中、重量級と3つに分かれていますが女子は人数が少ないのもあり、基本的には無差別なのです。
 K林選手みたいに大きい人とあたったらどうしよう〜と初めて不安な気持ちに襲われました。
 その日の帰り道K林さんに教えてもらった
 水道橋のとある格闘技ショップでマウスピースを買い、ついでにプロテインなども買って帰りました。
 あと1週間で増量してやろう、という魂胆です。
 48キロからどれくらい増やせるものなのか?!
 それから大会出場用のロングスパッツを買いにデパートへ・・・。
 ロングスパッツはあまり種類がなくて探すのは困難でしたが何軒目かでやっと気に入るものが手に入りました。
 家に着いたら焼肉食べに行こう♪わくわくしながら電車に揺られて帰りました。
 今となっては増量など絶対にすることのない貴重な体験となりました。


 管理人から
 たしかおーどりーさんがシュートボクシングを始めたきっかけは『ダイエット』だったはず。なのになぜか増量しようと思い立ってしまってます。当初の目標などどこへやら、すでに格闘技にはまった人と化しております。
 ところで、見ているモノにとってはあっという間の3分間、やっている方にとっては永遠の3分間だったりします。少なくとも管理人はおーどりーさんに殴られながらそう思いましたよ、こないだのスパーリングで…。